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脱プラ言うならOPP袋もだ!セロファン封筒で脱プラ推進

SDGsを始め、世界的に脱プラスチックの動きが加速しています。6月30日、日本生命が「プラスチッククリアファイルゼロ」の目標設定についてという発表をして話題になりました。
日本生命のプレスリリースはこちら

このプレスリリースをうけ、今まで印刷有のクリアファイルを作っていた会社の受注が突然止まったり、紙製ファイルが俄かに注目を浴びるなど、様々な影響が出てきているようです。
当社の紙製ファイル「Block File」

環境省はプラスチックの代替先としてバイオマスプラスチックやCNF(セルロース・ナノファイバー)、そして紙などの再生可能資源へ転換を図っていくとしており、国としても脱プラスチックの方針で進むことは間違いありません。

 

さて、当社もリングレスカレンダー、紙製のクリップCLI-LAB、紙製ファイルのBlock File、Honeycomb Fileなど様々な脱プラ代替素材製品を展開していますが、それらの個包装資材としてよくつかわれるOPP袋もやはりプラスチック素材からできたものです。

当社ではこの代替製品として『セロファン封筒』を用いることにいたしました。

今回はOPP、そしてセロファン封筒について、環境問題の視点から紹介をしていきたいと思います。

 

そもそもOPPとは

OPPとは、「Oriented Polypropylene(二軸延伸ポリプロピレン)」の略称で、素材の名前となります。
OPP袋とはこの素材からできた袋ということです。OPPは頑丈且つ透明性が高く、印刷適正も高いので、日常の様々な袋に利用されています。

価格的にも非常に安価であるので、コストパフォーマンスに優れた袋として世界中で使われているのです。

 

しかしあくまでプラスチック

OPPの言葉の由来であるポリプロピレン(以下:PP)はプラスチックの1種類です。
PPは基本的に燃焼して処理することになりますが、燃やしても有害物質や悪臭は基本的に出しません。
しかし、燃焼カロリーは紙やその他素材に比べると比較的高くなっています。

また全て燃焼できればいいのですが、実は燃やされた廃棄プラスチックは全体の12%(世界)に過ぎず、日本国内だけで見ても焼却されたものは67%に留まります。

更にリサイクルについても、透明なプラスチックに戻すことが理論的には可能だが現実には難しいと言われています。加えてコストもかかるため、リサイクルが進まず新規で製造されることが選択されているのです。

 

プラスチックは分解されない

プラスチックは頑丈であるがゆえにゴミとなったときはそれが完全にデメリットに変わってしまいます。
太陽光線にさらされると劣化してボロボロになりますが、そうしてボロボロになったものがマイクロプラスチック化し、長く海中に留まることになるのです。
埋め立てされたものはより酷く、地中に入り太陽光線にも晒されないため、半永久的に残ってしまいます。

以上のことからプラスチック素材を利用する限り、環境の負荷を低減することはかなり難しいことがわかると思います。

 

解決策の1つは生分解

プラスチックが問題になるのは生分解されないためです。ですから生分解性のある素材で代替すればいいということになります。
生分解とは自然内で分解され水と二酸化炭素などに変化することを意味します。バイオマスプラスチックはこの生分解性を持ったプラスチックと呼ばれていますが、実情はもう少し複雑であるようです。

 

バイオマスプラスチックも実は分解されづらい

バイオマスプラスチックはPLAという素材で出来ていることが多いですが、この素材は50℃以上でなければ分解されないため、バイオマスかどうかをはかるコンポストの環境では分解されても、実際の海洋上では分解されなかったりするのです。ですからいろいろな情報が出る中で、バイオマスプラスチックを詐欺だと嫌う方も一定数いるのが実情です。

生分解性がより高く、かつOPPのように透明性のある素材は無いのか・・そうした中でバイオマスプラスチックとは違う生分解性のある素材を再発見しました。

 

それがセロファンです。

 

セロファンという素材

皆様もセロハンテープを一度は触ったことがあると思います。あの素材であるセロファンは、おもにパルプを原料としており、生分解性がある素材です。
しかし、水分に非常に弱く、強度もPPよりは弱いので、封筒タイプに製袋することがそもそも困難な素材でもあります。

今回長年セロファンを扱っている藤田セロファン産業株式会社様がセロファン封筒開発に成功したとの話を聞き、早速リングレスカレンダーが封入できるA5サイズの封筒開発を依頼しました。

 

セロファンの弱点とカバーする方法

まずセロファンオンリーの袋を試作していただいたのですが、やはりその性質上水分に非常に弱く、水滴が垂れただけでも皴が寄り、使い物にならなくなってしまうことが分かりました。
これをリングレスカレンダーの包装用に用いるのは難しかったので、リングレスカレンダー用には防湿セロファンを用いたタイプの袋を新たに製作していただくことになりました。

 

OPPと比べて大幅にプラスチック使用量を低減

紙封筒と比べて重さも軽く、基本的にセロファンで出来た封筒であるので、プラスチック使用量を大幅に削減することができます。(防湿タイプなので完全にゼロではありません)

セロファン封筒はカマス型になっており、口を糊で封緘できるようになっています。パッと見た印象ではほとんどOPPと遜色はありません。防湿であれば強度も耐湿性も問題がなく、実用的なものとなりました。紙封筒は中身が見えないことが弱点でもあったのですが、透明でエコな封筒ができあがったので、個包装された状態でも中のカレンダーが見れるようになり、広告宣伝効果も上げることが可能となりました。

 

個包装から工夫することでSDGsに合致したモノを

今回はセロファン封筒についてご紹介いたしました。個包装につかう素材も工夫をすることで、脱プラをより進めることができることがご理解いただけたと思います。
今後、もう少し大きなタイプのセロファン封筒なども試作・開発を進めていく予定です。

既存のOPPを完全に否定するわけではなく、価格や納期等の点では依然優位性があります。

ご希望があれば防湿でない100%セロファンの封筒を用意することも可能です。

セロファン封筒を使った各種ノベルティ、販促物については是非お問合せフォームからお気軽にご相談ください!

山田俊英
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