画像:紙で作る新しい世界.jpg

注目のキーワード

待たせ(過ぎ)たな!『バルカナイズドファイバー釣り針』(2)

皆様はこの記事(紙で魚を釣る!?新企画『バルカナイズドファイバー釣り針』(1))を覚えているだろうか。
昨年7月14日にアップされたこの記事を。

連載2回目がいつまでたってもアップされてないし、筆者ももう忘れてんじゃないの?と思っていたそこの貴方!まあ間違ってはいない。 しかし1年以上の時を経て、この企画に新たなそして大きな衝撃が走ったのである。

 

釣り・ストーリーは突然に

それはたまたま私が休んでいる日だった。(大体間が悪い)
東京紙器に一本の電話が掛かってきた。知らない番号だ。また人材募集系の営業か?電話対応をしている佐藤さんが半ば呆れ顔で受話器を取る。

佐藤「はい。東京紙器でございます。」

??「お世話になります。私、日本バスプロ協会の土屋と申しますが・・」

佐藤「ニ、ニホンバスプロキョウカイ!?ど、どのような御用件でしょうか!」

佐藤さんが話を聞くと、例の釣り針記事第1回を見て連絡をしてきたそうだ。
SDGsの絡みで環境に優しい釣り針を探している中、紙製釣り針の記事に大いに興味を持たれた様子。
私が不在だったので、まずは会長である山田俊也が話を聞くことに。

ちなみに我が社には山田が4名いる。。

山田俊也(以後:山)「お電話変わりました。東京紙器の山田です。」

土屋様「実は御社の紙製釣り針試作におおいに興味を持ちました。特にうちの協会の会長が興味を持っておりまして、ぜひご相談に乗っていただきたいのです」

山「というと、どのようなご相談でしょうか?」

土屋様「まずは直接お話させていただきたいので、河口湖にある事務所までご足労願えませんでしょうか」

 

日本バスプロ協会とは

日本バスプロ協会は、山梨県富士河口湖町、河口湖に本部を置く、多くのブラックバス釣りのプロが加盟している団体。前身はJBTA。日本全国の湖でバス釣りトーナメントを開催している。(出典:Wikipedia)

日本バスプロ協会(JB)は上記のような団体で、全国の釣りトーナメントや、釣りイベントを主催している淡水魚、特にバス釣りにおける日本の元締め的存在だ。

なお、JBがプロ主体の団体であるのに対し、NBCというアマ主体の団体も存在する。
要するにバス釣りを多少やっている人ならば誰もが知っているような団体なのだ。

そのような協会のトップ自らがこのような半分ふざけたような記事に興味を持つとは・・

いよいよ天変地異が起こるか、と驚いたが、いろいろ調べてみると釣りという自然相手のスポーツだけあって、マイクロプラスチック問題や環境保全にとても力を入れて取り組んでいることがわかった。

なにしろ問い合わせをしてきた土屋様の肩書からして、SDGs研究基地・生分解ルアー研究所という名が付いているのである
(ちなみに土屋様は、山梨県鳴沢村の議員も務めておられる方です)

 

試作の現状

恥ずかしながら私自身はそこまで釣りに造詣が深くないため、釣り人であり弊社常務でもある山田徹也に話を聞いてみた。

山田俊英(以下:俊)「かくかくしかじかなんですよ。この協会知ってますか?」

山田徹也(以下:徹)「もちろん知ってるよ。釣り具にもいろんなものがあるけど、ecoマークっていう環境に優しい商品であることを示すマークを付けたり、大会にはFecoマークがついた道具だけしか使ってはいけないというレギュレーションを制定したりと、環境には結構力を入れているみたいだね。」

俊「なるほど。釣り針とかにもバイオマスとかそういった素材の製品があるんですか?」

徹「いや、俺が知る限りは釣り針に関しては無かったと思うなあ」

徹「会長の山下さんも有名人だよ。なかなか会える機会は無いんじゃないかな。」

日本トップレベルの協会会長であるのだから当然である。私も内心ビビっている。
お会いする前に以前作成したファイバー釣り針の出来栄えを確認しなければ。

俊「それで・・以前作ったファイバー釣り針はどうでした?」

徹「まず重みがやっぱり無いから、水面に横倒しで浮いてしまうんだよね」

徹 「そうすると、沈めるのがなかなか大変だから、フライ用の針にすることを思いついた」

徹「あとは紙なのでどうしても厚みが一定だから、先端は削らないといけないね」

俊「結構作るの大変そうですね。。釣果は?」

徹「いや、ぶっちゃけまだ試せてないな」

なかなか難しそうだ。期待している内容ではないかもしれない。ただ試作したものは沢山あるのでこれを持っていって正直に話をすることにした。

 

新座→関越→圏央道→中央道→河口湖

翌週。
朝から河口湖へ社用車プリウス(東京オリンピックバージョン)で向かう。渋滞もなく、2時間ほどで現地へ到着。天気の良い日で富士山がとても綺麗だった。

紅葉も美しい。

そして現地へ。

 

打合せ

建物がいくつか立っているのでどこへ向かえばいいか逡巡していると、1つの建物内から声がかかった。

建物入口にある自動スリッパ殺菌装置的な物に感心しながら中に入る。

建物の中には所狭しと釣り道具が置いてあり、まさに釣りの協会本部といった趣。テーブルが中央にあり、そこに山下会長、土屋様が待っておられた。早速名刺交換、挨拶をすませ打合せに。

 

山下会長(以下:会長)「今日は遠い所来てもらってご苦労様です。来ていただいたのはほかでもない。釣り協会を私が1人で立ち上げて40年以上たつのですが、昔から環境問題には力を入れていてね。エコタックルなどの制度もそうだけど、環境に優しい道具を使うようにしてきました。最近ではSDGsも念頭においていろいろな施策を練っているところで、調査とかに動いていた矢先に紙製釣り針っていう情報を聞いて、これは珍しいってことで話を聞いてみようと思ったんです。」

土屋様「私が会長から指示を受けて調査をしていたら紙製の釣り針という御社の記事を見つけて、これは!と思って問い合わせをしたのですよ。」

俊「どうもありがとうございます。逆に私どももこのような形でお声がけいただき驚きました。」

そして釣り針の現状をご説明する。

 

俊「実は試作したはいいものの、いろいろと問題もあって、釣果はまだ無いんです」

俊「軽すぎて横倒しに水面に浮いてしまったり、紙は平面なので立体的に針を削りださないといけなかったり・・性質的にフライの針が良いかもということで毛バリの仕掛けを作ってみたのですがまだ試せてはいないです」

会長「ほ~これが現物ですか。軽いのに関してはルアーにつける形にすればルアー自体の重さがあるから大丈夫。削ることに関しても手があるんで何とかなるでしょう。もう少し大きめの針を試作してもらえませんか。そうしたらうちのほうでいろいろテストしてみますから。」

山「他にこういった素材で針を作った事例というのは無いのでしょうか」

会長「いや、金属以外は世界でも聞いたことないよ、紙で作るなんていうアイデアがそもそも無いからね。さすが紙を扱う会社だと思いましたよ」

俊「元々はファイバー紙の活用方法を募集したときにいただいたアイデアがスタートだったんです」

会長「まあまずは大きい紙製の針を試作してみましょう。実際に完成したら使いたいアイデアがあるんですよ。」

公式発表前のため、一応ここでは具体的情報は伏せるが、SDGsに因んだ施設やファミリー向けイベントで使ったら良い体験になるのではないかというアイデアがあるそうだ。

まずは大きい針を試作してすぐに送るということでその日の話は終わった。
大体の大きさ目安は確認したので、その情報をもとに試作をし、すぐにお送りすることとなった。

協会でテストをしてもらえるならこれほど信頼できるテストもないので、我々としても成果が楽しみである。

本当に富士山が綺麗な場所。

チャレンジは続く

アイデアは時に連鎖反応を起こす。弊社も常に刺激をもらうことで新しい物を産み出し続けたい。

 前回記事の最後に書いた文であるが、今回正にそのような化学反応が起きているのではないだろうか。

紙で魚を釣る

一見、はぁ?となりそうなワードであるが、徐々に具体性を帯びてきた。是非この荒唐無稽に見えるチャレンジを形にしていきたい。

というわけで日本バスプロ協会の皆様、引き続きよろしくお願い致します!

 

 

山田俊英
yamada-toshihide