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紙と花はこんなに相性が良かった。フラワーアレンジメントと紙のコラボ

宮本なる様 龍神マルチプル全映

早くも新年度の1カ月が過ぎようとしています。今年の桜は例年より早く開花するといわれていましたが、結果的に4月上旬の開花という遅咲きの桜でしたね。私も息子が晴れて小学生にあがったため入学式にいったのですが、桜がちょうど満開で良い思い出になりました。

さて、入学式の桜は植えてある木に咲く花を愛でるというものですが、様々な式典やレストランなどの公共の場では花器に花が飾られているのを見かけることが多いのではないでしょうか。そのような場所で飾られる花は、花の種類、色、形、大きさ、構図、花器など様々な要素をフラワーアレンジメントという技術(≒芸術)で組み合わせることで美しさを最大限に引き出されています。

日本には花を扱う伝統芸能として華道があります。どちらも花を扱う芸術なのですが、華道は精神的な修練の側面がある一方、フラワーアレンジメントは装飾的な目的が強く、西洋文化に由来しており、よりデザイン性、色彩の調和に特化した技術となります。

この度、そんなフラワーアレンジメントを手掛ける装花デザイナーmahana様と、刀絵作家である”刀絵帰蝶”宮本なる様のコラボレーション作品に携わる機会がありましたので、ご紹介をしたいと思います。

刀絵作家 “刀絵帰蝶” 宮本なる様について

さらっと登場させてしまいましたが、ここで宮本なる様の紹介をしなければなりません。以前の記事にも登場したことがありますが、なる様は日大芸術学部を卒業後、荒俣宏氏に見出され、切絵の技法の1つである「刀絵」を自らの道と定め、シンガポールにて本格的に活動を開始されました。最近では切り絵御朱印制作にも携わっており、深い日本文化・芸能への理解と類まれな切絵センスにより、様々な場面で活躍されている作家様です。

東京紙器との関係は長く、なる様がシンガポールにいるころからご協業させていただいており、なる様の作品を弊社で作成したり、逆に刀絵御朱印の制作をご依頼したりと、お互いに支えあいながらお仕事をさせていただいています。

刀絵の名の通り、なる様は小刀を用いて作品を生み出すのが特徴です。この小刀は玉鋼よりこさえた特注のもので、数種類の小刀を使い分けて作品に魂を入れています。精彩な作品なので中々量産が難しいのですが、ありがたいことに弊社の加工技術、品質をご評価いただき、長くお取引を続けているという経緯があります。

龍神の刀絵と花のコラボ

今回のお話は、なる様からいただきました。装花と刀絵を組み合わせたコラボ作品を作りたいとのこと。正直イメージがわかなかったのですが、装花作品と紙製のマルチプルがどういったシナジーを生み出すのか私も楽しみでした。
ケースに入れるため、それにあったサイズの指定がありましたので、通常のマルチプルサイズより小さめの作成となりました。

使用するマルチプル刀絵は、富士山を背にひとひらの桜を握る龍神をイメージして切り出された作品です。不動明王の化身である倶利伽羅(くりから)龍王。邪気や煩悩を断ち切る降魔の剣であり、智慧の利剣でもあります。龍神の利剣は、なる様の想い入れ深い”七支刀”として切り起こしたそうです。同じく不動で美の象徴たる富士山。花という儚きものを掴んだ龍神は、散りゆくものとさえ一体化し、富士と共に永遠にこの国を守護しているのです。そんな美しさと力強さを兼ね備えた作品となっています。

mahana様の御紹介

ここで今回作品を手掛けていただいた装花デザイナーのmahana様をご紹介しましょう。mahana様は大手花店にて都内名ホテルにてブライダル装花、ロビーの生け込みなどをご担当された後、2022年に独立され、横浜にてドライフラワーとカフェのお店を開業、現在は三浦市に移転して新たなスタートをきる準備中といった経歴の持ち主です。

“mahana”とは太陽を意味するタヒチの言葉だそうです。”花”と掛かっていて素敵なお名前ですね。

なる様とmahana様は古くから関係があり、今回のコラボレーションはマルチプル刀絵を『花を贈るように』届けたいという想いから、なる様よりmahana様に話をもちかけて実現したそうです。

完成品が届いた・・!

さて、完成前から弊社の打ち合わせルームにも飾ろう・・と思い、実は弊社でも1つ完成品の予約をしておりました。

実際の作品がこちらです!

宮本なる様龍神マルチプル全体
宮本なる様龍神マルチプル斜影

いかがでしょう。

龍神マルチプルは紙色を選択出来るのですが、今回は弊社のコーポレートカラーである緑色の龍にて製作をお願いしておりました。刀絵の精彩さと装花が違和感なくフィットしていますね。金のフチ、金色の葉が良いアクセントとなり、中央のバラと刀絵に目線が集中するような構図になっています。六角形の構造体が全体に引き締まった印象を与えつつも、作品に広がりを与えています。また色合いも刀絵の緑と花のピンクが調和し、それでいて派手さを感じません。

素晴らしい作品に仕上げていただきました。早速打ち合わせルームに飾っています。

龍神マルチプルの飾っている状態

まとめ

今回は紙と花のコラボレーションで素敵な芸術作品が出来上がりました。弊社の加工技術も一役かうことができ、大変光栄でした。東京紙器では、デザイナーやアーティスト様の”ideaを形”にする仕事をこれからも続けていきます。

紙加工のご相談は、下記お問合せフォームより!
https://www.tokyo-shiki.co.jp/contact

宮本なる様ホームページ
https://katanaekicho.wixsite.com/papercutting-art/home

「Ideaを形に。」東京紙器株式会社

山田俊英
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