画像:紙で作る新しい世界

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和紙×レーザーカット 東京紙器のクリエイティブな世界

魅力的な名刺への思い

 私にとって、名刺は個人や企業のアイデンティティを表現する小さなキャンバスです。昔から魅力的な名刺には特別な惹かれるものがあり、その追求の過程で様々なデザインや印刷技術に手を伸ばしてきました。先日、使っていた名刺が切れてしまい、これを機に新しいデザインの名刺を作ることにしました。どんな名刺にしようかといろいろと悩んだ結果、東京紙器の特色を活かしながら、紙、印刷、加工技術の見本になるような名刺を目指すことにしました。このコンセプトのもと、まずは名刺の素材となる紙の選定からスタートしました。

和紙を使いたい

 実は、コンセプトを決める前から和紙を使うことは自分の中で決めていました。以前から、和紙の中でも特に手漉き和紙の手作りの温もりと質感に魅力を感じていましたが、通常使用する洋紙に比べると高級でしかも流通量が少ないため、相談を受けても実際に使う機会は滅多にありません。そのため、弊社では、印刷や加工を試す機会がほとんどありませんでした。しかし、「江戸の紙はSDGsに沿っていた!環境に優しい「和紙」について」でも触れた通り、私には、和紙という素晴らしい文化が継承されるためには、もっと積極的にこれを使っていかなければならないという(勝手な)義務感があります。そこで、今回私の名刺に使うことで様々な知見を得て、皆様のモノづくりのアイデアに繋がればと思い、手漉き和紙の使用を決めました。

 和紙を作っている地域には、有名なところで福井の「越前和紙」や岐阜の「美濃和紙」などがありますが、やはり、同じ地域で作られた和紙を使ったモノづくりをしたいと思い、思い至ったのが「小川和紙」でした。埼玉県の小川町や東秩父村のある地域では、古代から和紙作りが盛んで現在でもその技術が継承されています。そこで作られているのが小川和紙です。弊社も埼玉県にある会社なので、同じ県で作られた和紙を使って名刺を作ることにしました。

耳付きの小川和紙を使った名刺用紙

名刺サイズの和紙に合う印刷と加工を考える

 名刺サイズに漉かれた和紙を入手したのですが、このサイズに印刷する方法は限られています。インクジェットプリンターでの印刷、昔からの手法で活版印刷、最近では顔料箔などを使った箔押しという方法もあります。名刺用紙専用のカードプリンターというのもあるようですね。今回はその中から活版印刷を選択します。活版印刷は、ハンコのような凸型の版を使って紙にインクを転写する印刷方法です。非常に古くからある印刷方法で、シャープでくっきりとした文字表現ができるのが特徴で、イラストなどを印刷すると、活版ならではの懐かしさの感じられるどこか温かみのある発色になります。加工見本の意味合いもあるので、活版印刷だけではなく、少し豪華さを演出するための箔押しも入れることにします。加工については、東京紙器が得意とするレーザーカットを施すことにしました。厚手の手漉き和紙をレーザーカットしたことがないので、きれいに切れるのかドキドキです。

特徴ある名刺デザインを考える

 紙、印刷、加工内容は決まりましたが、肝心のデザインをどうするかです。今回は社内で製作することにしました。使用したい印刷や加工方法などの情報を社内の担当者へ渡し、コンセプトにあうようなデザインの製作をお願いしました。そうして出来上がったのが画像のデザインです。素晴らしい出来栄えです!使用する和紙にあわせて和柄を配置することで、全体的に和風なイメージに仕上がっています。それぞれの模様には意味があり、右上に配置した可愛らしい鳥のデザインは「千鳥(ちどり)」と呼ばれ、日本古来の縁起の良い柄とされています。そして左下に配置しているのが「青海波(せいがいは)」で、海の波を模した文様です。この2つの文様を配置し、千鳥が波を飛び越えている図を描くことで「時代の波にのまれないように、力強く乗り越えていく」という意味になっています。

名刺のデザインイメージ

皆さまのモノづくりをサポートします

 果たして実際の仕上がりはどうなるのか…加工の様子や完成品の状態も後日記事にしてご紹介する予定です。本記事の名刺製作のように、東京紙器ではお客様のご希望イメージから、素材や印刷、加工の選定、デザイン、そして製作までを一貫してディレクションできる体制を整えています。「こんなモノをつくりたい」などのアイデアがありましたら、是非本サイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。オリジナルの御朱印製作も承っています。切り絵を含まないデザインも製作可能ですので、他とは一線を画した高品質で魅力的な製品をご希望の場合は、お気軽に東京紙器へ丸投げしてください!

ハッシュタグは #東京紙器 #名刺 #デザイン #レーザーカット

山田秀嗣
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